2019年10月1日から「電気通信事業法」の改正が施行されました。電気通信事業法とは携帯電話事業に関する法律です。
ニュースでも「2年縛りがなくなる」や「違約金が安くなる」など報じられていますが、具体的に今までとどのように変化したのかを紹介します。
結論的には2年縛りがなくなり、違約金も1,000円までに抑えられます。残念ながら大幅値引きは禁止されます。値引きについては条件付きで認められるので、条件などについても紹介します。
電気通信事業法の改正
電気通信事業法の改正案は2019/3/5に閣議決定され、2019/10/1から施行されました。
改正の目的
今回の改正の目的は「利用者の保護」と「市場の競争の適正化」です。
出典:総務省の「電気通信事業法の一部を改正する法律の施行に伴う関係省令等の整備等に対する意見募集の結果及び情報通信行政・郵政行政審議会からの答申」の資料から抜粋
上の総務省の資料のうち、利用者が直接気にするところは「モバイル市場の競争の促進」です。
残りの2項目は、「事業者や販売店はきっちりやってね」という内容で当たり前のことなので、利用者の利便性は向上しますが、特に意識しなくても良いと思います。
本ページでは利用者側の視点に絞って改正点を紹介します。
現行制度での課題
現在の制度での課題は主に以下の通りです。
別の嫌な言い方で表すと、以下のようになると思います。
- 高額な違約金で解約しづらくさせる
- 初期費用を抑えて新規契約させ、高額な月額料金を請求する
- 機種変更のみに使えるポイントでお得感を出して、解約したら損だと思わせる
- もっと安くできないのかと調べても料金体系が複雑で訳が分からない
どのように改正されるのか
大きくは以下のように改正されました。
- 行き過ぎた期間拘束の是正(違約金の上限など)
- 継続利用を条件とした利益提供の禁止(継続割引きや機種変更の割引き禁止)
- 新規契約時の端末購入の利益提供の上限設定(割引き金額の上限)
行き過ぎた期間拘束の是正
2年縛り自体は残りますが、実質なくなります。
- 契約期間の上限は2年まで
- 期間拘束のない契約も必ず選択肢として提供しなければならない
- 期間拘束のある/ない契約での差額は月額170円(税抜き)まで
- 違約金は1,000円(税抜き)まで
2年縛りが残っても、以下の状況になります。
- 最大1,000円を支払えば解約できる(今までは8千円~1万円程度)
- 2年縛りのない契約も利用できる。差額は月170円だけ。(今までは数千円の差額)
ほとんど気にしなくても良いレベルになりましたね。
継続利用を条件とした利益提供の禁止
かなり重要な項目です。
三大キャリアはこれを前提として機種変更などを勧めていました。実際に機種変更代がかかるので出費するのですが、機種変更を頻繁にする人は一般市場で購入するよりも安く購入できるのでお得です。
そのお得は、どこから来るのでしょうか?
あまり機種変更しない人の通信料金から捻出されています。機種変更しなければ新たな出費もありませんが、本来の通信料金に「他人の機種変更代金」が上乗せられて毎月支払っている状態です。国はここを問題視しています。
改正後で禁止されたこと
改正後は「端末代金と通信料金を完全に分離する」ことを前提に「継続利用を条件とする割引き」が完全に禁止されました。1円たりとも値引きできません。
「違約金はかかるけど解約できるから機種変更とは関係ないんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、契約上は関係しています。
「機種変更後に解約した場合、解約時に割引き分も支払う」条件になっている可能性が高いです。つまり、契約を継続する場合に限って割り引いている訳です。この条件がないと「5万円割り引いて、1万円の解約金=4万円の損失」となり、経営が成り立ちません。
具体的にどう変わるのか
先ほどの機種変更での大幅値引き以外にも変わるところがあります。具体例を挙げます。
- 機種変更での大幅値引きができない(先ほどの内容と同じ)
- 端末代金の残債がある状態で機種変更した場合に、残債を免除する優遇はできない
- 現在の月賦額と同じ月賦額であれば、同じ料金で最新機種に乗り換えられる(新たに月賦支払い期間が始まりますが)
- この優遇があるので、機種変更を繰り返す人がいます
- 新規契約時に契約期間を条件とした値引きができない
要約すると、「購入した端末は適正価格を全額支払いなさい」ということです。
全く割引きできないのか?
全く割引きができない訳ではありません。継続利用を条件にしなければいいだけです。
つまり、誰でも同じ価格で購入できる値引きであれば問題ありません。
普通に考えて、誰でも買えるのであれば大幅値引きなんてできませんが。。。
新規契約時の端末購入の利益提供の上限
「大幅値引きは、もうないのかぁ。。。」と残念に思われた方に朗報です。
あまりにも規制し過ぎると自由経済じゃなくなってしまうので、「新規契約時の端末購入の割引き」は条件付きで認められます。
通信の新規契約と端末セットの割引きは現在一般的です。これは改正後も認められています。
「端末代金と通信料金を完全に分離する」前提は変わっていないので、割引きの上限が設けられています。
- 割引きの上限は2万円(税抜き)
- 0円以下とならない範囲(無料や通信料への還元はダメ)
- 在庫端末は半額まで割引きできる
- 在庫端末とは仕入れ(調達日)から24ヶ月以上経過した端末
- 製造中止品は8割まで割引きできる
- 仕入れ(最終調達日)から12か月経過で半額まで、24か月で8割まで
もちろん、新規契約時でも継続利用を条件にした割引きはできません。いつでも解約でき、解約時に割引き分を請求しない条件でなければ認められません。
値引きに規制がかかったため、格安SIM事業者でも10月以降は大幅値引きを見合わせている状況です。各社とも様子見な感じですが、スマホの大幅値引きで有名なOCNモバイルONEがかなり攻めた大幅値引きのセールを実施しています。
最近みかけなくなった「スマホ1円!」なんてこともしています。消費者側からすると安ければ安いほど助かります。OCNモバイルONEのセール情報は以下の記事で紹介しています。
現在の契約はいつまで?
2019年10月1日から改正が施行されると紹介しましたが、新たに契約を交わした場合に適用されます。
残念ながら現在契約しているものは、そのまま継続されます。
10月以降も自動更新で同一内容の契約となることは認められていますが、改正前後に混乱させないための措置だと思われます。
各社10月までに新プランを作ると思うので、新プランへの移行の案内があると思います。契約期間の途中でも新プランへの移行の案内があるかもしれませんので、切り替えることをおすすめします。
まとめ
以上、2019年10月1日に改正された電気通信事業法によって、携帯電話の料金などがどのように変わったのかを紹介しました。
- 解約違約金が1000円以下になり解約しやすくなる
- 2年縛りなどの期間拘束以外の契約も必ず用意しないといけない
- 端末代金と通信料金が明確に分離される
- 通信料金から捻出していた端末代金の大幅な割引きができなくなる
- 継続利用を前提とした割引きも禁止される
利用者間の不公平感や、三大キャリアの囲い込みは無くなる方向です。同時に大幅割引きもなくなってしまうので、困ってしまう方も少数ながらいるかもしれませんね。
制度改正後は各社とも値引きが控え目ですが、OCNモバイルONEは現在でも大幅値引きを行っています。セール情報は以下の記事で紹介しています。11/20から新コースの料金プランに移行し、月額料金も大幅に値下げされました。月額1,180円(OCN光利用者は980円)から利用できるのでオススメです。
三大キャリアを解約するなら違約金が下がる10月以降がおすすめですが、以前からの契約が継続している場合、違約金も従来のままの可能性があります。気をつけてくださいね。
この機会に格安SIMに乗り換える方は、以下の記事を参考にしてください。
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