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皆さん、今年の株などの投資の成果はいかがだったでしょうか?
ここ数年はコロナウイルスやウクライナ戦争の影響で株式が乱高下しています。特に2022年はインフレによる金利上昇や為替の大幅変動で乱高下が激しかったですね。かなり多くの方が株式の変動に悩まされたのではないかと思います。
今年一年の株式の取引状況は特別口座であれば証券会社が損益を集計してくれます。以前の記事で株式の損失について注意することを紹介しましたが、利益が出た場合も注意が必要です。
今回は株式で利益が出た場合に払い過ぎているかもしれない税金を取り戻す方法を紹介します。2022年の特定口座の年内取引は12/28(水)15時までなので気をつけてくださいね。
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株式の確定申告
株式の取引で利益や損失が出た場合、確定申告する必要があります。
確定申告の対象者と株式譲渡益と損失が出た場合の注意点については先ほどの記事で紹介しています。この中で源泉徴収ありの特定口座で損失が出た場合、確定申告すると将来節税になると説明しましたが、利益が出た場合も節税になる可能性があります。
利益が出た場合の注意点を口座の種類によって紹介したいと思います。
利益が出た場合の注意点
年内取引はいつまでか
2022年の特定口座の年内取引は12/28(水)15時までです。特定口座の場合、約定日ではなく受渡日で集計されるので注意してください。
営業日なので途中に土日があるとややこしくなりますが、今年は平日のみなので以下のようになります。
- 12/28(水)15時までに取引(約定日)
- 12/29(木)が1営業日後
- 12/30(金)の取引最終日が2営業日後の受渡日となる
- 12/31(土)は休業日です
- 今年は土曜なのでそもそも休場していますが、大晦日は平日でも休場します。
一般口座の場合、12/28(水)までの取引は受渡日が年内(12/30(金))となります。一般口座の場合、約定日と受渡日のどちらでも確定申告することが可能です(確定申告の中で統一してください)。
特定口座(源泉徴収あり)
源泉徴収ありの特定口座だと証券会社が年間の取引結果を集計してくれます。毎回の取引で利益が出れば税金が源泉徴収され、損失が出れば税金が戻ってきます。
いたれり尽くせりでとても便利なんですが、あまり無頓着だと税金面で損することがあります。
冒頭で紹介した記事で、損失は3年間繰り越すことができると説明していますが、一度払ってしまった税金は取り戻すことができません。例えば、今年は利益が出たが翌年は損失となった場合、今年の税金は戻りません。
少しでも余計な税金を払いたくないのであれば、今年中に利益と損失を見直してください。証券会社の数や口座タイプと損益の状況によって以下のような行動パターンになります。
証券会社が一社のみ
- 確定した利益があり、含み損はない
- → 特に何もしなくてよい(確定申告しなくてよい)
- 確定申告すると所得に計上されるので翌年の健康保険料が上がる
- 確定した利益があるが含み損がある
- → 含み損の銘柄を売却して損失を確定させると以前の利益分の税金が戻ってくる
- 確定申告の必要はない
- (すぐに買い戻せば手数料は取られるがほぼ税金だけが戻ってくる状態)
- 損失のみしかない
- → 確定申告しなくてもよいが、確定申告すれば3年間損失を繰り越せる
複数の証券会社を利用
複数の証券会社で利益と損失が分散している場合、確定申告しないと損益を通算できません。
- 確定した利益があるが、他の証券会社で含み損がある
- → 含み損の銘柄を売却して損失を確定させると以前の利益分の税金が戻ってくる
- ただし確定申告が必要
- (すぐに買い戻せば手数料は取られるがほぼ税金だけが戻ってくる状態)
- 確定した利益があるが、他の証券会社で確定した損失がある
- → 確定申告すると利益分の税金が戻ってくる
- (確定申告しないと払い過ぎた税金は戻らない)
複数の証券会社で利益と損失が分散している場合は、明らかに税金を払い過ぎているので、確定申告をおすすめします。ただし、翌年の健康保険料の増加分と天秤にかける必要があるので注意してください。
特定口座(源泉徴収なし)
源泉徴収無なしの特定口座は確定申告が必要です。
給与の天引きで所得税と住民税を納めている方は利益20万円以下であれば確定申告は不要です。そうでない方は必ず確定申告しましょう。
一般口座
一般口座は確定申告が必要です。
給与の天引きで所得税と住民税を納めている方は利益20万円以下であれば確定申告は不要です。そうでない方は必ず確定申告しましょう。
一般口座と特定口座の両方
一般口座と特定口座を組み合わせて取引することもできます。
源泉徴収なしの特定口座の場合は給与天引き者の20万円以下の利益以外であれば、必ず確定申告が必要です。
源泉徴収ありの特定口座の場合、特定口座を確定申告する義務はありませんが、総合的に税金を取り戻したり減額できるように計算して確定申告してください。必要があれば含み損を確定させてください。(パターンが多すぎるので総合的に判断してください)
損失の出し方の注意点
実際に損失を出して税金を取り戻す場合に少し注意が必要です。
源泉徴収ありの特定口座の場合は特に注意が必要です。
源泉徴収ありの特定口座は、証券会社が自動で損益を集計し税金も計算してくれます。とても便利なのですが、その計算方法を把握していないと予定していた損失を出すことができません。
同日に売却と買い戻しをすると?
単純に売却だけすると本当に損失になってしまうので、売却した株数と同数の買戻しを行えば、途中で清算されるだけで、持ち株の数自体に変化はありません。取得単価が下がるだけです。(売買手数料は負担する必要があります)
クロス取引ってやつ?
同じ株価で売買すれば、持ってる株数は同じだから、実質の変化は無いもんね。
損失を出すために売却するだけなら特に問題ありませんが、税金を取り戻すためだけに「損失を出すための売却」と「売却した株数と同数の買戻し」を同時に行うと想定していた損失にならないことがあります。
源泉徴収なしの口座だと、取引ごとに申告を行うので特に問題ありませんが、源泉徴収ありの特定口座では注意が必要です。
源泉徴収ありの特定口座の取得価額の計算
源泉徴収ありの特定口座では、証券会社が自動で損益や平均取得価額を計算してくれます。
自動で計算してくれるので、とてもありがたいですよね。
但し、自動で計算されてしまうため、その計算方法を理解していないと、こちら側が想定していた損失を出せない場合があります。
少し具体例を挙げて説明します。
売却で損失を出し、翌日に買い戻し
異なる日に売買を行った場合の平均取得価額と損益は以下の通りとなります。
売買日 | 売却 | 購入 | 平均取得価額 | 損益 |
xx日 | 1,000円×100株 | 1,000円 | - | |
yy日 | 500円×100株 | - | - | -50,000円 |
zz日 | 500円×100株 | 500円 | - |
売却で損失を出し、同日に買い戻し
同日に売買を行った場合の平均取得価額と損益は以下の通りとなります。
売買日 | 売却 | 購入 | 平均取得価額 | 損益 |
xx日 | 1,000円×100株 | 1,000円 | - | |
yy日 | 500円×100株 | 500円×100株 | 750円 (500円+1,000円÷2) |
-25,000円 |
さっきと平均取得価額も損益も違うわね。。。
yy日の購入が先に計算されているの?
上の表の平均取得価額と損失の計算は以下の通りとなります。
- もともと1,000円の株を100株保有
- 500円に下がったのでyy日に100株購入
- この時点で200株を保有
- 平均取得価額は(1,000円×100株+500円×100株)÷200株=750円
- 同日(yy日)に500円で100株を売却
- 平均取得価額750円を、500円で100株売却なので
- 売却額(500円×100株)-(平均取得750円)×100株=マイナス25,000円
その計算は理解できるけど、購入するよりも前に売却すれば違う計算になるんじゃないの?
最大の注意点は、そこです。
源泉徴収ありの特定口座では、平均取得価額と損益の計算は取引終了後に一度だけまとめて行われます。
実際の売買の時刻は無視され、同日に売買した場合は、購入が先に行われたと解釈して計算されます。
「売却→購入」の順で取引しても、「購入→売却」の順で計算されます。
確実に損失を出したい場合は?
さきほどの例でも後で100株を500円で売却すれば-25,000円の損益となり、最初に出した損失と合わせると-50,000円の損失です。
損失が勝手に消える訳ではありませんが、年末の税金対策としては、想定通りに損失を出したいものです。
確実に損失を出すためにはいくつか方法があります。
信用取引やNISA口座などを利用する
同日の売買が「購入→売却」にまとめられてしまうのは、同一口座の場合です。
現物の特定口座の損失を確定させたい場合は、信用口座やNISA口座など異なる口座でクロス取引を行えば、口座自体が違うので取引をまとまられてしまうことはありません。
NISA口座は年120万円の枠しかありませんが、余力が残っていればNISA口座を利用するのがオススメです。手数料もかかりませんし、売却時の税金もかかりません。(現物の手数料はかかります)
信用口座を持っている人は信用口座を利用するのも手です。
また、当たり前ですが、全く異なる証券会社を利用すると、特定口座でも管理が別なので計算がまとめられることはありません。
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クロス取引の注意点
同数の株の売買を同時に行うクロス取引にも注意点があります。
クロス取引はいくつかの方法で行うことができます。
- 指値で売買を同時に出す
- 寄付前に成行注文を出す
- 指成の注文を出し、前場または後場の引けで成行の売買を行う
この中で、「指値で売買を同時に出す」は行わないでください。
時刻が違っていても出来高が少ない銘柄だと、同日に売買を繰り返すと株価操縦を疑われるようです(人気のデイトレ銘柄は出来高が多いので問題にならないようです)。違法行為と勘違いされないように気をつけてください。
クロス取引では指値ではなく、必ず「成行」で売買が成立するようにしてください。結果的に寄付きまたは引けでの売買になります。
またクロス取引は異なる口座間で行わないと、想定通りの損失を出すことはできません。
信用口座を利用したクロス取引
現物→信用のクロス取引を行った場合、そのまま信用口座で保有しても構わないのですが、現物に戻す方法もあります。
信用→現物のクロス取引でも可能ですが、現引きという手法があります。
信用口座で保有している株式を売買せずに現物に交換する方法です。現引きの手続きは各証券会社で行ってください。
まとめ
以上、株式取引で利益が出ている場合の確定申告が必要かどうかと払い過ぎた税金の取り戻し方などを紹介しました。複数証券会社で損益が分散している場合、明らかに税金の払い過ぎになるので注意しましょう。税金を取り戻せるチャンスは確定申告のみです。
2022年の最終受渡日とするためには2022/12/28(水)までに取引を完了させる必要があるので、みなさん注意してください。
確定申告が必要な方は必ず確定申告を行ってください。
白色申告や青色申告の確定申告を無料で管理できるソフトがあるので、活用されてはいかがでしょうか。以下の記事で紹介しています。
確定申告する時間のない方は税理士に相談することをおすすめします。
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また、ふるさと納税すれば実質的に税金が戻ってきます。2019年5月から運用が厳しくなって地場産の返礼品に限定されました。以前のように返礼品自体がギフト券というのはありませんが、家電などの返礼品はありますよ。キャンペーンとしてギフト券プレゼントなどもあるので、チェックしてみてください。
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